手を伸ばせばあの折れそうな体に触れる事が出来るのに








アイテムが丁度切れてしまいメルトキオへ寄った
相変わらず豚な奴らが群を帯びている

思わず早くここを出たいと口に出しそうになる
人混みが嫌いな俺には相当堪えてしまう(人ではなく、豚混みか)

その豚混みの中に極めて目立つ金髪

ああ、あいつかとすぐに解る俺も相当らしい
どんなに目が悪い奴でも好きな奴が遠方にいたらその途端目が良くなってしまうと
言うのはこの事なのかと納得してしまう
あ、転けそうだな あれは…


自分が前方に歩いてマルタを守っていても転けそうになるなら意味がない気がしなくもない
案の定、転ける所かマルタと離れ離れになってしまって涙目だ


やれやれ


豚共の波を割いて蜂蜜のような頭を目指す
ぶつかりながらマルタを探す姿が可愛いと思う俺も
相当この豚共と同じで涌いてるのでは?と感じる

「オイ」

やっと手を伸ばし、手を引く
すると今まで目に溜まっていた涙がポロポロと地面に落ちて吸い込まれていく

「リッリヒターさん…」




あぁ…俺はエミルのこの顔が苦手なんだ
どうか泣かないでくれ



「…リヒターさんどうしてここにいたんですか?買い物か何かですか?」





あぁ… 確かにそうだ だけど







「お前に」


導かれて
なんて言ってしまったら
どんなに楽か…

言ってしまったらエミルとの関係が一瞬で崩れてしまうのが目に見える

俺はこんなに臆病だったか…?

「??僕に…?」

「ッいや、何もない」

今の俺は真っ赤だろう…情けない
俺はこんな奴じゃないはずだ

「リヒターさん、あの…マルタを見ませんでしたか?」

「いや…見ていないぞ」

そうですかと言って頭を下げる
こいつに犬の耳が付いていたら即テイクアウトするだろう

「そうですよね……じゃぁ俺探しに行かなきゃいけないんで…」

「久々にリヒターさんに会えて嬉しかったです。それじゃまた」

くるりと俺に背を向けてマルタが行ってしまっただろうと言う方向へ歩こうとするが
途中で足が止まった


「ど…どうしたんですか…?」

「…」


俺が後ろから抱きついたからだ
自然に『俺』がエミルに離れたくなかったからだろう

「俺も」

一緒に探してやるから離れないでくれ


最後辺りの声は蚊の鳴くような声だった…と思う。
聞かれなかったと思いたい…

「あっありがとうございますっ」

やっと笑顔になった子犬を腕から離すと人混みの中を駆け出した



俺の手を引いて








やっと手を伸ばす事が出来た



こんなに簡単で



暖かいものだったんだ



愛しい 愛しい





この感覚を永遠にしたいと強く思った








FIN








―あとがき―
あれれ?リヒエミリヒになってる気が・・・;
途中打ってて何が書きたいのか解らなくなって打ってたらこんな事に;
リヒター視点でした!
エミル視点の方は携帯サイト限定でアップ予定です。